Vol.3.5感想 のうみそ 仕事

のうみそ

  • 川上弘美
  • 連載「このあたりの人たち」3
  • あらすじ。友達とそのお姉さん。お姉さんはいつもおどおどしている。仕返し。「のうみそ、とお姉さんは答えた。人形ののうみそ」

感想。うぉーい相変わらずこわいなあ!
この作家はどうしてこう絶妙なシチュエーションを描いてみせるのか。
しかもこの怖さ不気味さというものは説明が出来なくて困る。
勘弁してくれ。


ただ連載の三篇読んで気になったのは 小説の終り、最後のセンテンスが弱いかなとか
まぁこれは好みの問題

仕事

  • デニス・ジョンソン 
  • Monkey Contemporaries 小説です
  • 柴田元幸
  • あらすじ。昔俺が当時の彼女と喧嘩した次の日、バーで友達ウェインから仕事を持ちかけられる。廃屋に行き売るための銅線をひっぺがし、外を流れる川を見た。するとモーターボートが川を遡っていた。ボートのうしろにはロープがのび凧があがっていて女がぶら下がっていた。呆然とする俺。廃屋を出てウェインが寄り道したいといい傾いた農家へ。出てきた中年女は凧の女性だった。ウェインは「俺の女房」といった。バーに戻り、大好きだった名前の思い出せない美しい女性に酒を作ってもらう。都市再開発で近いうちに無くなるバー。ウェインと一緒にいたなかで間違いなく最良の日だった。それからずっとあと。

感想。よくわからんがすごく好き。
こうしてあらすじを書き起こしてみて自分でびっくりした。これといった筋がない。なのに省略しすぎてしまうとせっかくのこの小説の良さが、確かに厳然と存在する小説の良さが、抜け落ちてしまう。
テンポもいいしぐいぐい読まされてしまうのだが
変わった手触りの小説で、ちんぴら風の主人公なのに品がある。
威勢がいいようで悲哀がただよう。
ウェインの語られることない人生。消えゆくお気に入りの場所。去るひと。
どうしてこうもこころに沁みるのか。年かねぇ。