Vol.3.5感想 表紙 扉絵挿絵 対話岡田利規×柴田元幸
モンキー ビジネス 2008 Fall vol.3.5 ナイン・ストーリーズ号
- 作者: 柴田元幸
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2008/11/20
- メディア: 単行本
- 購入: 5人 クリック: 15回
- この商品を含むブログ (40件) を見る
表紙ほか
- Vol.3と同じく基調は黄色。若干ゴールドがかったシルバーが目立つ。顔のある口を開いた植物と落ちそうなお猿さんの図
明るい色調。黄色はサリンジャーライ麦のイメージ?バナナフィッシュ? まあどうでもよろし
あいかわらずの騒々しいセンスのよさ ポップでナンセンス いい気持ちになります
扉絵挿絵
- 扉絵。黄色いボタン黒いドレスの…動物?
- 挿絵は時々挟まって数枚
- 作者は金子佳代さんとのこと
- Kaneko Kayo Website
うむ。俺は絵心がまったくないので例によってコメントが難しい
今回は雑誌に合わせてかすべて黒と黄で描かれております
とりあえず表紙めくって、女性の身体をしたミッキーマウスというか犬というか謎の動物と目が合った時は泣きそうになった。
各挿絵もひどくこころをざわめかさる作品です
あからさまにではないが 何かがひっそり渦巻いている わお
『ナイン・ストーリーズ』をめぐって
-
- 柴田:こういう風に展開するしかない、と思うが、説明を求められると出来ない。例えばバナナの自殺やエスキモーの心変わり。研究書には色々解釈があるが納得出来ない
- 柴田:9作全て煙草が出てくる 岡田:それには気付かなかった
- 煙草による小説の間のとり方。
- 岡田:人間には体がある。ナインストーリーズにおける体勢や身体の描写。
- 会話のセンスのよさ
- 柴田:会話と翻訳について。ブコウスキーには、イメージと違って、実はスラングが全然出てこない
- 岡田:読者が自分で会話をカスタマイズする能力。「エズメ」の手紙は素晴らしい背伸び感がよく出ている
- 柴田:うれしい。エズメの手紙はまさにそんな感じでうまくいった。
- サリンジャーにおける副詞について。
- 小説が、メインじゃないところから始まる。
- 父親に肯定的な小説、ディンギーについて。
- 細部の豊かさ。でも全体に奉仕しない。なぜかそこから豊かさが生み出される
- エスキモーの心変わりについて、ひとりめか、二人目か?岡田「わかんないですよね」柴田「わからない」
- 岡田:笑い男はいちばん解説・説明が出来そう。なので「九番目に好きな作品」
- 柴田:笑い男におけるあの独特の女性に対する言い回し。サリンジャーが最初ではないか
- 柴田:アンクル・ウィギリーの子供、眼鏡のレンズ、メードへの冷たさ、泣きについて。そろばんが合わない
- 柴田:一番強い短編小説は、何度読んでもそうなるのかわからないものが多い
- 青の時代について。各短編の一人称について
- 岡田:ストーリーがあるにも関わらず、小説がそれに寄りかかっていない作品。そういうところには追いつきたい。
先日俺はナインストーリーズに感想を書いたのだが、二三同じようなことを話されていて相槌をうつ
岡田さんの子供の頻出の指摘、自殺や心変わりの謎などはまさに俺が感じたこと
その反面まったく俺の世界観の外からの指摘も多く唸ってしまいました
ストーリーに頼らない(!?)作品構築、体の描写、スラングについて、煙草の頻出などなど
うーむ
岡田さんは演劇作家だそうなので、やはり書き手の視点で切り込み
柴田先生は翻訳者の眼で作品に取り組む
同じような業界ではあるがまったく視点の異なるふたりの対談。刺激的でした。
柴田先生は眠り号広場でのパーティーに鮮やかや解説をつけてくれたので
ナインストーリーズが全体的によくわからなかった俺は
きっと巧みな解説を付けてくれると思い込んでいたのだが
専門家ふたりが「あのへんはよくわからん」
教授だから学生の手前わかったふりをしなきゃいかんのだが説明不能らしい
- 恩師逝く - ○△□
俺の愛する教授どもはろくでもねえ生き物だな(褒め言葉)
苦笑い