Vol.5感想:死のメッセージ――警官への指示/別の電気
死のメッセージ――警官への指示/別の電気
感想。アマチュア無線家は傑作を生み出す小説家である。
そもそも俺にとって、その読みかけの小説が傑作かどうかを判断するのは簡単なことだ。
なんらかの理由で(電車の乗り換え、帰宅、休み時間の終了、etc)読書を中断したさい
あたまが、物語の続きの想像で結末への欲望でいっぱいになり
ふらふらとその物語に引き返し不機嫌に唸りながらがつがつかっこむ
例えばそういう風になってしまう時がその判断を下す有効な目印のひとつだ
この小説の説明は難しい。
自分の中で結論だけははじき出せても
それを他人に解説する段になると困ってしまう。
俺は怒りを好む
怒りの篭った作品を好む
怒りだ。山田正紀もカート・ヴォネガットも
俺の怒りに同調する
この小説にもそれを感じたらしい
俺は良く出来た怒りを憎む
ね、こんなことがあったんだだから主人公は怒っているんだよ
ね、わかるでしょ?ほら、君の事分かっているんだよ
怒り狂ったように見せかけて、読者の顔色をちらちら伺い共感を促す
そんな怒りを憎む
わけがわかる怒りなどお呼びじゃない
わけもわからず怒り狂うのだ
正味な話し、誰にも誰にも誰にもわかりゃしないのだ
きっとささいな事なのだ 筋道だっちゃいない
それはしぶとく地味で
静かに狂っている
お前なんかに何がわかるんだよ、糞ったれのハム野郎。
俺の中の世渡り先生は言う「こびへつらってもいいじゃない」
ああそうするとも
許さない 許さない