ダークナイト感想

*ネタバレ要素注意

ダークナイト 特別版 [DVD]

ダークナイト 特別版 [DVD]

監督:クリストファー・ノーラン
脚本:クリストファー・ノーランジョナサン・ノーラン


バットマンクリスチャン・ベール
ジョーカー:ヒース・レジャー
ハービー・デント:アーロン・エッカート
ゴードン:ゲイリー・オールドマン
フォックス:モーガン・フリーマン

あらすじ。バットマンVSジョーカー+α


感想。ラストが上手い。
胸を張って万人にお勧めできる傑作娯楽文芸大作。


「世の中には二種類の人間がいる」式の分け方でいくとこの映画、
する人間としない人間となるだろう。
例えば殺人を、強盗を、相手の船の爆薬のスイッチを押すことを、市民のため犯罪と戦うことを。
善良な市民とはしない人間であり、ジョーカーやバットマンはする人間だ。
ためらいもなく殺傷しためらいもなく悪と戦う。

「お前は(精神)病院送りだ」
「一緒に入らないか」


正義は悪なしに存在し得ない。
正義は罰であり報復であるので、罪が必要だ。無からは生まれない。
しかし悪は罪はそうではない。これらは無から生まれる。
悪は意志が生み出す。
正義は共同体と社会の要請であり問題になるのは量刑の「倍率」でしかない。*1
正義に意志はない。自動的である。
「天の裁きは待ってはおれぬ、この世の正義もあてにはならぬ」というやつだ。
この映画は、法治国家の否定…は言い過ぎだとしても、懐疑を提示した。
私欲で正義を成す。これは社会正義のあり方ではない。悪のそれである。
独裁正義である。依頼人も仕事料も必要としない正義の帝王。
狂気の億万長者、戦うエリオット・ローズウォーター。
正義が支配する「無法」地帯。
少年は問う「バットマン!なぜ逃げるの?」「悪くないのに?」*2
それは彼が笑わないジョーカーだからだ。

*1:ゼロには何を掛け算してもゼロなのだ

*2:理解できないのはただ幼い子供のみ