Vol.5感想 ベクトルとブラウン運動のあいだで――川上弘美・小川洋子対談
モンキービジネス 2009 Spring vol.5 対話号
- 作者: 柴田元幸
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2009/04/20
- メディア: 単行本
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ベクトルとブラウン運動のあいだで――川上弘美・小川洋子対談
- 司会 柴田元幸
- Dialogue 対談です
- 要約
- 小川洋子『物理の博物館』*1と気球研究所
- 小川は村上春樹の登場で小説が書けると感じた
- 川上「村上さんを読んで最初、「ヴォネガットみたいだな」って思いました。初期の。」
- 川上は多和田葉子の登場で小説が書けると感じた
- 村上春樹、野中柊、よしもとばなな、ガルシア=マルケス。文学の風通しがよくなった
- SF・ミステリの翻訳家について
- 内田百輭、泉鏡花、牧野信一、藤枝静男、川端、太宰、谷崎
- 小川の理想は「わたしはこの手をこの小説のために貸しただけだ」小説の道具と化すこと
- 川上における<私>の無さ。日本の文学について
- ここ二十年くらいの日本の文学の変化。二分法の解消の方向
- 小川の小説登場人物は異物につっこまない
- 生物学をやっていた川上の生死観。「死はいつも生の中に準備されている」
- 科学について。ネットの新人賞パスカル短篇文学新人賞出身の川上「パソコンはちょっと駄目なんですけど」
- 小川「科学の扉をノックする」について
- 小川、渾沌に完全な秩序を携えていくと安心する
- 書くときのとっかかりについて
- 川上(「風花」について)とっかかりは「温泉に行く」だったんです
- 小川 登場人物をそばで見ている感覚。この次どうするんだろうとはらはらしながら。
- 「待ちますね。彼に選ばせる」
- 普通の話について
- 小川 ミーナの行進のとっかかりは「カバに乗っていく」
- 川上「どこから行っても遠い町」干物屋にあった、ピカソとコクトーがよりそっている写真
- 小川「猫を抱いて象と泳ぐ」チェス喫茶アンパサン
- 若島さんについて。京都大学の先生は仮の姿、本職は詰将棋作家。詰チェスも作るよ
- 詰将棋パラダイス。編集長。
- 小説を誰に語らせるか 小川「今回長編で初めて三人称で書いた。人称は難しい」
- 川上「だんだんつながっちゃうんですよ」
- 小川「そういう一点を書きたがる」
- 日本文学における”余計なこと”。小川「”余計なこと”を書きたくない」川上「逆かも。最近”余計なこと”を書けるようになってうれしい」
- 川上「しかたなく自由みんな」
- 小川「自分にとっては登場人物の姿かたちが重要」川上「(登場人物の姿かたちが)全然ない。わかってない」
- 川上「顔、考えてない」
- 柴田、川上「ミルハウザーは目の人」小川「レベッカ・ブラウンは感触の人」
- 川上「私の書く小説は輪郭があやふやだなあ」
- 小川「直線。ベクトル。宇宙線は究極の直線だそうです」川上「わたしが好きなのはブラウン運動。無秩序」
- 異業種への尊敬の念は大事
- 小川、川上「どこにすごいひとが隠れているかわからない。侮れない」
- 科学者。職人の世界。職人への敬意。職人だから思想はいらない。
- やっぱり型がいい。きちっとした型が。型の恵み。
- 俳句。今昔物語。源氏物語。どうしようもなく個性が現れる。
- 自分から遠く離れたものを書く。コロッケ。日記。
- 「作家の対談は読者のためというより本人達のためだよねー」「ねー」
感想。このあたりのひとびとの川上弘美と
『物理の博物館』の小川洋子対談
面白いんだが読者おいてけぼりだと思ってたら自分たちで言及しやがった
もう好きにしろよw
共感できる話題がいくつも出てきて楽しかったです。
そうそう川上弘美さんはSFのひとだったんだっけか
この前後輩に叱られた。申し訳ない。
「職人だから思想はいらない」はよかったなー