Vol.4感想 アコーディオン

アコーディオン

  • アレクサンダル・ヘモン 柴田元幸
  • 「Monkey Contemporaries 」 小説です
  • あらすじ。1章。フェルディナント皇太子がサラエボを視察。心中の描写。彼をまったく歓迎せず命ぜられるまま機械的に小旗を振る群集。そのなかにあって、なぜか誠実な笑みを浮かべる男。鍵盤の欠けたアコーディオンを持ったその男に皇太子は目をとめ興味をそそられる。皇太子は欠けた鍵のことを考える。あれで演奏できるのだろうか?ピストル。皇太子妃は死ぬ。たぶん皇太子も。1章終り。2章。筆者はいきなり、この物語が大半想像と憶測の産物であることを告白する。例の男が筆者の曽祖父であること、アコーディオンや微笑の理由も明かされる。曽祖父の死。アコーディオンが壊れる。ラスト、この小説がシカゴで仕事の後書かれたことが記述される。


感想。断言しよう。この小説はすごい。重ねて断言しよう。何がすごいのかまっったくわからん!


大変もどかしい。
ああない袖は触れぬ。語るわざを持たぬ。


俺の心がざわめきたったのは間違いなく2章。のはず。
歴史的事件の当事者に深く切り込んだ、でも
作り話。それも意図的に史実と違う一連の情景。
無関心に淡々と描かれる作者のルーツ。
重要なようで全然重要でなく、無意味なように見えて意味ありげな。
そして唐突で平凡なやるせない現在。取るに足らない人生。
その根が架空の大事件に一瞬でもリンクしていたということ
欠けた鍵盤
なんら関与しない傍観者

あの鍵なしでも曲は演奏できるのだろうか?

無力感無力感無力感無力感無力感無力感無力感無力感
いったいアコーディオンを持った男にそこにいた意味などあったのだろうか
駐車場係員として長い一日をみっちり働いた男に?