Vol.3.5 あかずの日記3 断食芸人 張り込み/詩学
六月-七月 荒川アラパカ園
- 岸本佐知子
- 連載あかずの日記3
- あらすじ。花火。アラパカ園。部屋の隅。ケーキ。再びアパート。その子の名を知っていることに気づく。
感想。この小説?は時々はっとする文章がある。
ホントに時々なんだけど。
断食芸人
感想。俺の脳にがつんと響く快作。ブラボー。
もっとも、ひとには勧めないです。
数々の小説の中には読者の鏡となるようなタイプが存在する。
本について語ることは己を語ることだ、てやつですかね。
カフカなんかはそういった小説を書く作家の代表格と言っていいと思う
俺は今回大変衝撃を受けたが 個人的な資質に起因している可能性が高いのではないか。
「もっと断食しつづける栄誉を、なぜ許さない」
「断食せずにはいられなかっただけのこと、ほかに仕様がなかったのでね」
「つまり、わたしは、自分に合った食べ物を見つけることができなかった」
「代わって檻には一匹の精悍な豹が入れられた」
張り込み/詩学
- バリー・ユアグロー
- 柴田元幸訳
- 連載Gangster Fables 3
- 張り込み
- あらすじ。張り込みの警官。暇をもてあました彼は張り込み対象を想像する。想像の彼は見張られている部屋を抜け出し警官の頭に狙いを定める。我に返る警官。
感想。おみごと。途中でオチの見当がついたとして、だからどうした?再読に耐えない物語など価値がない。
そしてこの短編は価値がある。
- 詩学
- あらすじ。ギャングのボスが、その愛人の浮気を知り報復を考え出す。間男の一物を切り取り小箱にいれ、何も知らない愛人にプレゼントだと言って渡す。詩的復讐。しかし愛人が箱を開けてみるとなかにはいっていたのは可愛い子猫だった。仰天・激怒するボス。そして。
感想。エッックセレント。作者の手のひらで踊らされるのも実に楽しい!
こうして連載三回目ともなると、どうやら俺はユアグローの小説が好きであるらしいことを認めねばならないようである。悪い気はしない。
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