雑記 ラブレター

恥の多い生涯を送って来ました。

俺はこれまで何人か
大好きな
気合の入った方たちに触れる機会があって
自分がいかにも凡人であることを痛感している
才能がないといってもいい
「継続的にひとのこころを打つ」方法を持ち合わせていない/作り上げてない、ということだ
努力しないとかすぐサボるとか己を見失いやすいとかたくさん理由はある*1と思うが
最大の原因は利己主義者・自分しか愛せない異常者だからではないかと愚考する。


しばらく前ある催しがあって壇上に翻訳者と作家があがった
俺は観客のひとりとしておふたりを眺めていた
俺は翻訳者のこれまでの仕事のいくつかが大好きです
おふたりのトークがはずみ
初めて空間を共有する翻訳者の顔姿勢気配声口調知性
俺は彼のにんげんが好きになりました

気がついたらむくむくと
あそこに行きてぇと
あの壇上に翻訳者と並びてぇと
凶悪な ときどき俺に訪れる、師匠の首を殺りたい衝動がこんにちはしました
あの親父に褒められたい 対等に足を止めて打ち合いたい
生徒じゃない ファンでもない
そんなものは糞くらえだ 師匠と差し違えたい
もちろん俺は格下で氏を追い越すのは
永遠に年齢が追いつかないように、「物理的に」不可能だ
だが
できなかぁねぇなあ


俺が大好きな気合の入った糞どもの共通点は
俺のことを視界に入れてちょっと一目置いてくれていながら
俺というにんげんにまったく興味を持っていないところだった
いいか 「まったく」だ 存在を認めてくれつつな
この点、まったく俺はドMであることを認めるのにやぶさかではない
でも今 翻訳者のひとの視界に俺は入っていない
単に知られていない
一目置いてもらってない
よろしい
氏はたぶん仮に俺が天才だったとしても
俺の才能「だけ」を愛せる異常者だ
本物の目利き、数寄者と見た
魂のこもった真作を求めて彷徨う餓狼
さて大学入試や資格試験に合格するためには受験テクニックが
面接や営業・プレゼンにはその技術が
あるいはコミュニケーションスキルが
ロジカルシンキングがプログラミング的思考が
自己啓発自己投資仕事術Lハックマネージメントキャリア形成エトセトラエトセトラ
目的と条件を満たすだけの小賢しい小手先のtipsが、世のなかには、ある*2
俺が狙い定めた怪物の興味を引くには食欲をそそるには
それに比べてとっても簡単
ひとのこころに突き刺さるほんものの小説を書く。あらシンプル。
見よ門は年に一度開かれた
一切の希望を捨てるには一歳足りないが
馬齢を重ねた駄馬にも、やり方がなくはないだろう
さあ小説を書こう
いや
ラブレターを

*1:悪い意味でプライドが高いとか傷つくのが大嫌いとか妥協して考え抜く根性がないとか

*2:もっとも極めると技術と呼べるだろう。結局それは小技群と言えなくも無い。問題は「体系だっている」点