野球号全感想:血

  • 作者:シェリー・ジャクソン 訳:柴田元幸
  • 原題「Blood」
  • Monkey Contemporaries とのこと
  • あらすじ。月に一度大地は血を流す。ロンドン。血の雲雀と呼ばれる女性たちはその大量の経血を処理する専門職。しかし機械化などによりいまや過去の職業となりつつある。元血の雲雀の女性に当時の様子をインタビュー。その11ヵ月後、不遜な高層ビルによって事故が起こり彼女達に依頼が舞い込む
  • <血の雲雀><拭き取り人><血の馬車(ブラッド・ワゴン)><ナプキン馬車><赤んぼ><レディホール>
  • 語り手は40代女性。なんだか漢らしいガテン系


感想。女性の誇り




非常にこころ乱される小説でした。
俺は動揺し混乱し不機嫌になった。
俺の経験は知っているこういう気持ちになる小説はいい作品ですああむかつく(誉め言葉)
でも一応一言言っておきますが、小説自体はそこまで上手ではありません。
まだまだ発展途上といった案配。テンポは悪くないから読めるけど、ぎすぎすして息苦しい。
まるで創作学科の卒業制作みたいな手堅さ。メインプロットが強すぎるし。


男たちが町の地面に栓。
膜を突き破り充血してそそり立つ高層ビル。
女性たちが後始末。


物語の横糸になっているのは語り手女性です。*1
職場で知り合ったちいさくて歌の上手な女性が生活のパートナーだった。
彼女を失ってから一騒動あった後、再び得たパートナーはやはり女性でした。


この小説は男を必要としていない。「俺を」必要としていない。

これがあたしのお話、もうこれ以上は申し上げません。ごきげんよう旦那、

好きにやってよあんたたちはこっちも楽しくやっていくから。
苦笑とため息を漂わせてにっこり微笑まれている感覚*2
呆然と立ち尽くす俺。手を伸ばしても届かないことがわかっている。


ひとはいつかかみさまを理解することはできるかもしれない。
でも異性を理解することはついに叶わないような気がする。

*1:縦糸については華麗にスルー

*2:何人にも侵されざる聖なる領域、心の光