レイ・ブラッドベリ死去
詩人ブラッドベリも逝ってしまった。
彼はSFにセンチメンタリズムをぶち込んだ
それから俺に、夜、見世物小屋、夏、草原、少年、雨、死を。
マッドサンエンティスト収録のサルサパリラのにおいを読んだとき俺は屋根裏部屋の両開き戸が開かれ夏の空気と少年と草原をこの目に見た。
火星年代記の第二章「イラ」を読んだときの気持ち、怖さというか悲しさというか、谷に響き渡った銃声、「なんでもない」、また第一次調査団がベッドに寝て闇にたたずむお兄さんが言った「おやすみ」。
俺が見たことの無いアメリカ、見たことの無いカーニバル、見たことの無い火星を俺は確かに見た。
これはいったいどういうことだろう。ブラッドベリは俺のどこかのスイッチを押すことのできる作家だった。
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