花見 屋台 神社

嫁さんと花見に行く
夕方、駅で待ち合わせたのだが 既に鬼のような人出
崩れるかと思われた天気は悪くない
信号を渡ると右も左も屋台屋台 広い道に人が溢れかえる
二人きょろきょろと物色 豚串おでんたこ焼き
嫁さんがふらふらとケバブに引き寄せられる 桜どころではない
ビーフン食って一服 ご苦労様な場所取りの青いシートが並ぶ中てくてくあるく
鳥居をくぐりお賽銭放って缶コーヒーをひとくち飲んだら風に花びらが舞った
境内を一周した頃 突然の雨
雨宿りもままならず濡れる我々 ひとびとは蜘蛛の子を散らすように逃げていく
さいわいしばらくして雨は上がる
神社を出てお堀に向かう 日は落ちた ライトアップ
コンビニの手前で嫁さんにここからだと言う
曲がってふたりで声を上げる 赤い桜が立ち並ぶ 左手にお堀の水面
うわーうわーと言いながら人の流れに沿ってゆっくり歩く
左右は元より上まで桜だ どぶとい幹は異様でもはや樹木に見えない
進むごとに次々その姿を変える桜 お堀 車のライト ビルの光
俺は一年前ここの桜を知り嫁さんと歩こうと思った