シャッター メッセージ

池袋で嫁さんと待ち合わせ食事のあと駅に向かう
途中とあるビルの前で人々が足を止めているのに気付いた
なんだろうと近づいてみるとそこはキンカ堂だった
キンカ堂というべきか、倒産したんだよなと思い出す
皆の視線を追ってシャッターに目を向けた
俺は驚いてしまった
そこらじゅう一面に張り紙。ぺたぺたとガムテで張り付けてある
ノートにルーズリーフに
それはキンカ堂を惜しんだ人たちのメッセージ
さよならキンカ堂 お世話になりましたと口々に感謝を綴ったものだった
シャッターの前、所在なげに集うみなさんの様子と顔つきが印象的だった
黙祷をささげるように立ち尽くし
道行くひともひとりまたひとりと足を止める
愛される、惜しまれるという言葉がある
今日俺は初めてその意味を知った