映画「空気人形」感想:おかえり

*ネタバレよりも 俺は不機嫌だ注意

監督:是枝裕和
原作:業田良家 『ゴーダ哲学堂 空気人形』(小学館


ペ・ドゥナ:空気人形
板尾創路:持ち主
ARATA:店員
岩松了:店長
高橋昌也:老人
富司純子:老女
余貴美子:受付嬢
オダギリジョー:制作者

感想。傑作。*1
ところで俺は二度とこの映画を観たくない。


あらすじ。ダッチワイフがこころを持ち恋をする。


例えば映画「家族ゲーム」はマンモス団地での一家四人プラス一人横一列食事シーンを提示した。
これぞ80年代、といえる構図。
空気人形という頭のおかしい映画にでてくる登場人物はほぼ全員異常な行動をとっている。
その行動を評価すると精神が壊れていると言わざるを得ない。
そして恐ろしいことにその全員が社会におけるそれぞれのポジションでそれなりに生活をおくっている。
彼らは狂っていない。異常でもない。まともではないかもしれないけれど。
必死にバランスを取ろうとあがいている。


この映画はデフォルメとフィクションで今を切り取った。映画でしかできないやり方で。
だから傑作と判定する。
俺はそんなもの観たくない。本当のことなど知りたくない。社会に生きる人々の抱えた問題など知りたくない。
からっぽで構わない。からっぽでなくても構わない。問題提起は必要ない。真実に光を当てなくていい。
他者との関わりで生きていることをもう知っている。実感できなくても。
社会は魔術の総和だ。事実に現実を被せて俺たちは実行している。
生命は影響を与え合う。言葉を掛け合い解釈をしあう。
考えなければ生きているとは言えない。考えれば生きてはいられない。

折れた足をいじられると彼は痛いが……
わしは痛まない…!

愛の物語とよぶな

*1:ただしタンポポ以降ラスト数分は蛇足。