ネタバレあり川上未映子「ヘヴン」感想:うん、ヘヴンはいちばん奥なの
- 作者: 川上未映子
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あらすじ。奥行きを取り戻す。
そのマインドは病である。
阻害を感じる病である。
折り目正しい小説に仕上がっている。ついに100%小説である。
再びあるテーマに対しあらゆる意見を並べ立てどれも選択せず保留する。
あるいは再び病院が台風の目的に理性と秩序の場である。
正確にはコミットのために再生を施す機能を持つ場である。
再生そのものが善とも正義とも解決とも描かれていないが。
大声で呼びかけた31歳、少女でも母親でもない妹は今回、継母として問題を放置する。
継母、医者、賢者は事件に介入しない。
諦めるのは熱力学第二法則に屈すること、これでは風雨に転がる木石と同じです。
彼はにんげんである必要はない。一個の方程式であればよい。
信じるのは明け渡すこと、違う法則を設定することです。苦労を乗り越えれば報われる、という風に。
彼女はにんげんである必要はない。一人の聖母であればよい。
受け入れるのはデザインを放棄すること、叫ばないことです。涙は流しても。
それはにんげんである必要はない。ただの人であればよい。
日の当たる並木道で少年は一歩を踏み出さずいつまでも涙を流す。
なにもかも、変わらずにはいられないです
楽しいこととか、うれしいこととか、ぜんぶ
長く長くずっと続く坂道
ヘヴンはいちばん奥にある
そう、天国はにんげんより無限に遠い。
その魂を持つ者は仲間である。
だがこの魂は弱い。弱いので凝り固まり武装する。
そしてやわらかさを失うのだ。時間の残酷である。
その衝動はやむにやまれぬ。
それでいてたやすく変質する。
しぶとく鍛え抜いたとき
動かぬ熾火となって瞳の中に鎮座する。
それは理解されぬ。それは知られない。
それは万能でもないし得てして有効ですらない。
だがそれは尊い。
ではまた