Vol.3.5感想 村上春樹 カズオ・イシグロ

カズオ・イシグロのような同時代作家を持つこと

  • 筆者村上春樹
  • 「Artist on Artist」とのこと。えーと何て訳すの?アーティスト、アーティストを語るみたいなニュアンスでいいのかしら?
  • 今月イギリスで刊行されるカズオ・イシグロをめぐる論文集の序文とのこと
  • 概要。カズオ・イシグロは巨大な巨大な絵画・壁画をひとりでこつこつ作り続けているような作家、そう私は感じている。個々の作品を云々せず全体が明らかになるのを楽しみに待とうではないか。同時代に彼がいることは喜びだ読者としても同業者としても。

感想。なるほど。じゃあしょうがない。
俺はイシグロ氏の小説を読んだことがないので何とも言えない。
氏の小説を読み俺にいくつか勧めてくれている友によると毎回作風を変え、傑作と駄作を交互に出す作家だとのこと。おかしなひとだなぁ。
作家が作家について何事か発言しているのだから俺としては特に異論はない。

ステイシー・ケント『イン・ラブ・アゲイン』ライナーノート

  • 筆者カズオ・イシグロ
  • ステイシー・ケントという女性ジャズシンガーのアルバム『イン・ラブ・アゲイン』に事寄せた文章の模様。
  • 概要。ステイシー・ケントは過去の巨匠に匹敵する歌い手である。悲しい歌が歌われても、彼女の歌には恨みがましさはない。ささやかな勇気と展望をどこかから引き出そうと努めている人間の姿。私達の時代の偉大なジャズの歌姫である。

俺の地獄には音楽は絶えている。
のでジャズシンガーについての氏の評価が妥当かどうか知る術を持たない。
ネットで聞ける彼女の歌をだいたい聞いたと思うが
確かに上手だなぁくらいしかわからない。音だって、聞くにも語るにも技術が必要である。
困ったものだ。
それにしても彼女を賛美する氏の文章は平易かつ冷静にして、なおちからがある。
上記の村上氏の文章もそうだが、こけおどしのない、しぜんで、湧き出たようにさらさらとしたためられた(ように見える!)コントロールされた文章。
それに比べて俺のようなチキンは感想などを書くとき、よくわからん大仰な言い回しで煙にまいて逃げをうつ。中身と地力がないからやたらと強調しておかないと不安なのだ。
両作家ともたいしたものである。