ロシア大家族 ミーチャ

「いや、そうじゃない」ミーチャはそれでも合点がいかないらしい。「教えてくれ、どうしてああやって、焼け出された母親たちが立っているのか、どうしてみんな貧しいのか、どうして餓鬼はあわれなのか、どうして草原は空っぽなのか、どうして女たちは抱き合って口づけしないのか、どうして喜びの歌を歌わないのか、どうしてああして、黒い不幸で、ああも黒くなっちまったのか、どうして餓鬼に乳を飲ませてやれないのか?」

これ以上、子どもが泣いたりすることがないように、乳もすっかり干上がった母親が泣かないように、いまこの瞬間から、だれひとり涙を流すことがないように、たとえなにがあろうと、一刻の猶予もなく、カラマーゾフ式の無鉄砲さにまかせて、いますぐ、いますぐ、それができるように、全力で何かをしてあげたいと思っている。