読まずに死ねるかドストエフスキー

ミモフタモナイことを言えばこの小説、カラマーゾフ親子(父+三人の異母兄弟)が「金」と「女」と「神さま」をめぐって繰り広げるバカバカしいまでのドタバタ劇である。

鼻持ちならない金持ちエロ爺さんである「父」と一人の女をとりあうダメ「長男」の確執。そこに、長男の(左記とは別の)恋人に横恋慕するインテリ「次男」、父や兄の言動に気を揉むキリスト者のマジメな「三男」

と、下手な要約をしてみても詮無いが、この殺人ミステリ+家族ドラマ+恋愛ドラマ+法廷ドラマ+宗教ドラマのすさまじさの一端なりを垣間見ていただけたら幸いだ。

あまりにもうまいこと要約していたので敬意を込めて引用。
このロシアの下品なメロドラマは、たくさんの要素がごった煮になっていて、どうひとに伝えたらいいかつねづね気をもんでいたのだが、すっきり無愛想で乱暴な要素分析感服いたしました。
まるで昼ドラかワイドショー。
かとおもうと大衆は豚だ式の、スターリンヒトラーのご先祖様大審問官寓話あり、蜘蛛の糸のそっくりさんあり*1、謎の大悟あり(立ち上がったとき彼は戦士になっていた!)、俺の大好きな「神の創ったこの世界を認めない!」宣言ありでもうぐだぐだ。
こいつは脂ののった上物だぜ?
ボリュームたっぷり
煩悩ぎっしり
読もう読もう

*1:芥川の蜘蛛の糸Wikipediaによると、「鈴木大拙による「因果の小車」(ポール・ケーラス作「カルマ」の邦訳)が典拠であることが今では明らかになっている」とのこと