「鉄人28号 白昼の残月」

監督、脚本:今川泰宏
原作:横山光輝

金田正太郎くまいもとこ
ショウタロウ:粟野史浩
敷島博士:牛山茂
大塚署長稲葉実
村雨健次:幹本雄之
村雨竜作:若本規夫
ナレーション:矢島正明


感想。並。残念。


以下激しくネタバレ要素あり。注意。

  • 十傑集残月と九大天王大塚署長が戦う…のだったらどんなによかったか!
  • どんでん返しの大好きな今川監督。今回もやらかしているが、公平に見て失敗だと思う。
  • GガンにせよGロボにせよ伏線に長い時間を掛けてミスリードを誘っている。時間の短さが敗因か
  • それにしてもシナリオが急すぎる。無理。
  • 大鉄人て。まあいい。姿はデビルガンダムですが。
  • 鉄人の包帯。鉄人の焼け爛れ。ふうん。解釈はしてあげない。
  • 敷島博士と署長は相変わらず理解ある(しかし能力の低い)甘やかしおとな担当
  • 村雨健次(健二じゃない方)と高見沢秘書はまったくの狂言回し
  • クロロホルムとベラネードに悪役の魅力なし
  • 正太郎は生徒。ショウタロウは先生。
  • 以上、消去法によると主人公は村雨竜作。

いやさお富ひさしぶりだなぁ、と。切られ与三郎*1を持ってくるあたりどんでん返しに命を掛ける今川監督の真骨頂。劇中ラストの歌詞は覚えがなかったが、調べてみると四番のようで。切ない。


鉄人はPowerである。
兄は軍事力としての扱いは弟を遥かに凌ぐ。
だが兄は鉄人を持つ資格の条件を高い軍事力とは認めていない。具体的な示唆はなかったが「軍事力ではない」使い方だと捉えている。それをよく考えて欲しいと弟に問題提起した。
と同時に。兄は頭ではそれらを考えながら己の感情を制御できなかった。存在理由に根ざす無いものねだり。
時代は変わった。世界は過ぎ去った。

廃墟がたまらなく美しい…

そこには醜さが不在ゆえに。不正が滅びているがゆえに。苦悩も。


竜作「俺はこの時代を生きることに決めた」雄々しい漢である。結局友の死に場所をさがしてやった彼は川面でデビル大鉄人を仰ぎ見ながら、身も世もない泣き出しそうな表情でわなないていた。竜作は友のアンビバレンツを知ってはいなかったろうが彼なりに察していたようだ。それを踏まえてなお鈍麻せず、悲しみに打ちひしがれることを受け入れる強いこころ。漢気。


散りゆくは、美しき白昼の残月

*1:一般的には切られ与三というらしいね