「天才になりたい」読了
天才になりたい 山里亮太 朝日新聞社 2006-11 ASIN:402273115X by G-Tools |
読んでよかった。
貪る様に一気読みした本なんて何ヶ月ぶりだろう。
俺と言うにんげんは活字に対する感覚が恐ろしく鈍い。特に近年夢中で読む体験が減っている。年に一、二冊レベル。これは本の質ではなく俺の感性の減衰、柔軟性の低下だろうと推測している。
山里亮太さんは鹿児島のMASATAKAに(俺的に)そっくりなので大好きだ。だから速攻買って読んだ。罰当たりなことに残り三分の一のティンブクトゥを放り出して、だ。きっとオースターと南海キャンディーズのつっこみを並べて後者を選ぶ阿呆は世界中で俺だけ。ごめんなさい。
天才に「なり」たい。この時点でもうおかしい。それはなるものじゃないだろう。まあいいや。
手持ちのカード(才能とも言う)が少ないにんげんが死ぬ気で我武者羅やっているのは胸を打つ。何度も何度も明らかな失敗を犯している。いつの間にか千葉の実家行きの電車に乗っていた下りは心底ぞっとした。
俺は彼と彼のコンビをお笑い芸人として認知している。だから観客の前の彼/彼等しか興味がないつもりでいた。だいたい何に対しても俺のスタンスはそのようなものだが、山里さんについては少々違ったらしい。本書の発行を知った瞬間には購入を決意していたことからそれは窺がえる。相変わらず俺は自分がよくわからない。松本さんや太田さんの本はいまだに食指がぴくりともしないのに。
俺は彼のどうにもならない口からでまかせがどうやって生まれたのか?をすごく知りたかったみたいです。
結果、生い立ちから現在までの、お世辞にも要領のいいとはいえない挫折反省慢心妄想良い訳まみれネガティブオーラのなかから、誰にも応用が効かない自分専用の技法を編み出して行く様が新書一冊にまとまっていました。わお。
この本は特殊な部類の書籍だと思う。だから他人には勧めない。実用書と見ると、高い確率でタメにならず流用不可のトピックスが満載だし、自伝と見ると他にもっと面白い波乱万丈なものがたくさんあるとおもう。「笑いがわかってる」と自負しているひとも特に読む必要はないとおもいます。
継続は力なり。才能の無さを思い知らされてなお継続するこころ。
つっこみだけじゃなく「感想」を駆使する独特の闘法。
息の長い芸人になって欲しいです。