中島英樹展

中島英樹というひとがどういう方かよくしらないがデザイナーと言う職業らしい。この職業についてはもっとしらない。
本読みにとっては2004年に新装された「講談社現代新書」の装幀者、といえば分かるかな。俺は知らなかったけど。ちなみに俺はあの装丁に異論はない(というか興味がない)
個展やるというので行ってきた。ハレルヤ。


会場入り口に「中島英樹展」の幕。幕と言うのかなあれ。ピンクっぽい布地に白抜き縦書きで。ちょっと違和感を感じる。
狭い入り口を抜けるとこじんまりとした1Fに作品が10ほど。作家性の強い作品中心。これは俺のデザインを解釈する能力の外にあるので理解不能である。ただいくつか添えてある言葉が興味をそそった。
何事も作品にとっては良い鑑賞者が不可欠だが、俺はこういうものの知識と思想がないので良し悪しがわからん。まあその辺は予定通りだ。
もう一部屋B1Fがあり、そこへの階段の踊り場に一作品。いい感じ。
B1Fには商業デザイン中心の展示。
氏の関わったポスター、書籍、CDジャケット、雑誌等。商品がテーマの一翼を担っているせいで制限も多いだろうけどお陰で俺みたいな者にもとっかかりがあって助かる。

  • 無機質、機械的、直線的で、血の通ってない、温かみを排した、自然天然を慎重に外した印象
  • モダニズムでもないしニヒリズムでもない。睨み付ける昆虫のような力強さと、無関心な非人間性のもつ「やすらぎ」が混在。
  • そのせいだろうか、自然物や風景を扱ったものは精彩を欠く
  • モデルや記号や化粧品、服飾といった人工物を配置演出させたら一級品に思う。ただ、受ける感じが美しいとかかっこいいとかじゃなくて強い。なんだこれ。
  • うまく言えないんだけど、日本人だとこのデザインに映えない。負ける。丸み・温かさ・ダイナミズムを尊ぶ感性からみると多分嫌悪感が先にたつ。あと破れもない。完璧志向。独特の美意識ね。古代ギリシャ風。
  • 素材としてアジア人は向かないような気がする。均整の取れた西洋人のイメージ。俺の思い込みかな。
  • この方にとって丸やぼやけた輪郭は「日本人」なんだろうなあ、とか。根拠はない。
  • シャープ。無目的性。やっぱり昆虫を連想する(誉め言葉)。
  • 他の商品と並べると圧倒的な異物感を放つのではないか

坂本龍一よしもとばななの言がちらほらあったので雑感。一昔前1980、90年代あたりの美術芸術文化周辺のひとには、「センスとは共通で万能であり、センスのいい人間は音楽も文章も絵画もデザインもすべてセンスが良い/良い筈だ/良くなければならない」という不文律があるように感じる。気のせいかしら。
アーティストは美に於いてルネサンス的万能人である(べき)というのはどこらへんからきたのだろう。ジョン・レノン?
そして俺はこの信仰の基盤がそんなに強固なものの様にどうも思えない。
各分野の傑出した才能が影響を及ぼしあうということはあるだろう。だが必ずしも分かり合えるとは盲信/妄信すべきでない。それは往々にして悲劇を生む。


これもヨーロッパ諸学の危機の一様相でしょうか。
意匠に仏性有るや無しや。


中島英樹さんがデザインした「仏像」が見てみたいねぇ。