使い捨て芸人

「新人賞を取っても売れないから、生活のために次の新人賞を狙うしかなかった」と大石さんは話す。国際冒険サスペンスを得意とするが、最初の賞の主催社からは4冊を出した後、「これ以上出せない」と引導を渡された。2度目の賞で再デビューしたが、その社は2冊で打ち止め。3度目の今回は、ペンネームを変えて応募した。

おそろしい。「これ以上出せない」って強烈だな。要するに新人賞受賞どころか、商業出版の二冊や三冊でプロフェッショナルを名乗る資格はない、と。例えばそれが全てではないけれど、大石直紀さんの名は今現在wikipediaに項目として存在しない。「日本の小説家」カテゴリーには1000人以上の人名がある。確かに1000人中現役小説家は多くはないだろう。それでもそこに、六冊の著書を上梓してる人物の記載がない。これが現実。漫画家だって十年続く作家は一握りというものな。

本が売れなければ消えていく新人と同じく、ベストセラーを生産できない新人賞もまた、早ければ5、6年で消えていく。

…。雇う側の出版社や編集者にとっても他人事ではないわけだ。新人作家だけでなくおおくの名もない編集者達が切られているのかもしれない。まぁ、フリーランスの編集者が出版社主催の新人賞に深く関われるとは思えないから、もしそうなら所詮会社員か。
えー、何この国。どうなってるんだ。別に困りはしないけど、泣きそうな気持ちになります。
サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ、てか。
世知辛いねぇ。