告白をめぐる奇妙な愛のための絶唱

4344011627愛をめぐる奇妙な告白のためのフーガ
琴音
幻冬舎 2006-05

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感想。琴音風リヴァイアサン



珍しい本を読んだ。
この作品が小説か詩か判別がつきません。
ひとりで読む作品だ。
激しい喪失を体験したひと特有の文体。センテンス間の飛躍が多く無駄の無い贅肉の無い遊びの無い余裕の無い文章。大好き。大嫌い。手に取った原因はこの気配か。
高い内圧と長年の蓄積が相まって大爆発を起こしたこの作品は、一体作者にとって特別なのか通常なのか気になるところ。
言葉を変えると、作者は小説を書いて渡世したい人ではないかもしれないという懸念。
俺は作者を小説を書くひととしてしか知らない。だから作品を発表し続けることを望む。
俺はその小説に興味を持てばお金を払って買って読み、面白ければ次の小説に期待するだろう。
さて。
魅力的な単語や作品名がちらほら書かれている件について。知識がないから淫する事が出来ない。俺は作品の外堀を埋めることは好きな部類だが、この作品にそれはやめておこう。
日本で小説を売って渡世する人に必要なのは一作入魂ではなく大量生産。だから甘やかしてはいけない。
知識ではなく感性ではなく、技術を。唯一無二のstyleはその後について来るから。
ガラスの仮面」という漫画の中で「観客こそは偉大な指導者」と書いてある。
次は、みんなが好きになる小説を。一部に熱狂的なファンを持つなんてのぁ誉め言葉じゃねぇぞ?
計量すると1500円は高い。「ラスト・ワルツ」1300円の方がレベルが高く面白いです。

ああそれでも。
なお。
結末は力強い。
この声量はフーガよりもオペラ。
宇と宙に響く独唱だ。
愛の怪人。
Sorge。
「やさしさが生きる答えならいいのにね」


4883791211ラスト.ワルツ―Secret story tour
島田虎之介
青林工芸舎 2002-11

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4102451072リヴァイアサン
ポール オースター Paul Auster 柴田 元幸
新潮社 2002-11

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