2004-06-17 一場面 その他 JR線某駅構内。電車が滑り込んでくる。前方車両に乗るために歩きながらふと耳にしたのは 「…電車参ります、白線の内側に下がって…」云々。 違和感を覚えたのはスピーカーからの声ではなく肉声だったからだ。 ひょいと見ると駅員はいない。 黒シャツにジーパンの腹の出たおっさんがボールペンを握り締めて件の台詞をぶつぶつ喋っていた。 その抑揚声質、本物と見分けがつかない名調子である。 瞬時に脳内を二、三の物語がよぎる。 彼を通り過ぎ最前車両に乗り込む。 俺は顔色ひとつ変わっていなかったように思う。 帰去来