第2回将棋電王戦 第5局 三浦弘行八段 vs GPS将棋

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"最高学府の巨大クラスタ"GPS将棋、1秒間に2億手以上読む正真正銘のモンスターである。
夕方、追い込まれた三浦八段。俺と嫁さんは固唾を呑んでみていた。持ち時間は刻一刻と減っていく。俺は祈るような気持ちで、想像もしない神の一手が指されることを切望した。1分を切り55秒経過し三浦八段が投了した俺は絶句し嫁さんはああと嘆息した。泣きそうだと嫁さんが言った。俺もうんと答えるのが精一杯。
A級棋士が敗れた。


その内容は個人的に、三浦八段の完敗と言っていいものだと思う。後手玉が無事というのもあるが、これについては攻め手が寄せ切れば良くある形なので必ずしも実力差とは結びつかないと考える。
それより、敗着が、そしてコンピュータ側の良手が不明である点。これは三浦八段自身が記者会見で発言していたので事実といっていいだろう。俺はこの事実を重視したい。
俺の解釈はこうだ。プロが一目で見抜けないほど地味ーな良手がどこかにあった。プロが、それも大勢のプロ棋士たちが見逃したのだ。持ち帰って研究が必要になる高度な局面が現れた。
錯綜する対局終了後に新定石かもという発言がちらほら見られた。
そういう戦いの一方がコンピュータだった。
俺は対局もさることながら、プロ棋士がコンピュータの手をにわかに理解できなかった点をもってして完敗だ、といいたい。

第5局はコンピュータGPS将棋の勝利。
トータルは人間一勝、コンピュータ三勝、引き分け一。
コンピュータ側の勝利。
電王戦全体の感想については、書けたら後日。