小説「すべて真夜中の恋人たち」感想:三十四年の孤独
川上未映子 すべて真夜中の恋人たち
生存戦略、しましょうか
きっと何者にも成れない俺が世界を革命する力をと叫んだとき、彼女は少女ではなかった。
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/08/06
- メディア: 雑誌
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感想。しあわせな話であった。
一秒ごとに世界線を越えて
女性は本を読みながら読むことを禁じられ文字と意味を遠巻きにしながら「間違い」を探す孤独の観測者。
職業、校閲。
誤字はなくなることはない。
彼女は偽りの勇気を出しバッグを失い男性を得た。そこは世界の悲劇に入門しなかった世界線だった。
聖なるかな聖なるかな聖なるかな。
ヒュー!見ろよ奴の筋肉を…まるで
彼女は己の裸身をなで回し絶望に沈む*1
彼女の人生とは誕生日であるクリスマスイブの静かな真夜中に散歩することだった。
三束さんはいう「真冬のマンホールの中で寝たことはあるか?」
ああ彼女はあの夜をこれからの静かな夜を一緒に歩きたいと願うひとを見つけた。
彼は光の国からやって来た
Truth lies at the bottom of a well.
真実は井戸の底にもノルウェイの森の奥にもない。
着飾る呪力強固な媚術。真実はあるものではなく作るものである。
聖なるかな聖なるかな聖なるかな。
しあわせ。号泣するとき頭にあたたかな手を乗せてくれること、乗せてくれるひとがそこにいること。
そのあたたかさは空中浮遊するチョコレートでありマナである。
聖なる邪悪を退け払い浄化する。あと10年は戦える。
ミッドナイトのすべての愛好家
この小説は本当に真っ当な恋愛小説*2。
男性はまさに女性の求める夢の結晶、白馬の王子様である。
彼は待つ力を持っている。
冬を終わらせるのは簡単だ。春を待てばいい。
入江冬子は前日をついに乗り越え聖なる御子と共に自らを祝福した。
スペインではね、チョピンって言うのよ
真夜中は光にあふれている。潔くかっこよく生きていこう。
- 作者: 川上未映子
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