雑記 ローズウォーターさん再読

俺の残念な脳みそは読むたびに内容を忘れ去る。おかげで毎回読むたび新鮮で面白い。実にありがたい
ローズウォーターさんを再読した。今回この小説に込められた支離滅裂で異常なエネルギーに俺は恐れおののいた。
極端な登場人物たち。その連中の生い立ちや先祖の歴史。ひとつひとつのエピソードがめくるめく異様さに満ちている。無意味で無関係に見えて、ページをめくるうちにひょっこり関連していく不思議。驚き。
タイタンの妖女に端を発し猫のゆりかごで完成を見たその手法は、物語が破綻するぎりぎりを綱渡りする。
ひとり想像しただけで息切れしそうな変人をダース単位で生み出すいかれた妄想力と
針の穴にらくだを通すようなアクロバティック構成力の計算され切った冷静さ
パワー・アンド・テクニック
訳者後書きに書評の引用がある。ここに本書に対する実にいい表現があった。「怒りのラブレター」
初読から20年ほど経つがちっとも魅力がいろあせない。俺がいまだに子供だということだろうか。