ジョージ・オーウェル「一九八四年」(新訳版)感想

※ネタバレ注意。ネタがばれたってこの小説の価値は変わらないが。

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

あらすじ。時は1984年。監視/密告社会オセアニア。歴史の書き換えが仕事の主人公は二足す二は四であると思う。彼は連行され拷問され洗脳されビッグブラザーを愛するようになる。


感想。感想?「感想」?この恐怖この嫌悪感この絶望感この怒りと無力感が感想と感想と感想と呼べるならそう呼ぶがいい!

スポンサーから一言

最初に言っておく。この小説は、小説としてとても面白い。
テーマとか理論とか社会批判とかそんなめんどくさいもの以前に、お話しとして読みやすくスリリングで手に汗握り考えさせられページをめくる手を止められない。
面白い、だから怖い

ビッグブラザー 愛のテーマ

戦争は平和なり
自由は隷従なり
無知は力なり

なにこれこわい

BIG BROTHER IS WATCHING YOU

m9(・∀・){ビッグ・ブラザーがあなたを見ている

その国では誰もが監視されている。生活の全てを映像に取られ盗聴される。話の内容はおろか口調を分析され表情を吟味され反抗的でないか?疑問を抱いていないか?ある基準に合格かどうか常に採点される。
法律はない。禁止事項もない。ただそうあるべきである、とされる。党を愛せ。ビッグ・ブラザーを愛せ。
うわべだけではいけない。心の底から真実そうでなければならない。考えてはいけない。不満に思ってはいけない。感じてはいけない。
万が一それをおかせばどうなるか。逮捕だろうか。否 ただ 消える。
ある日彼/彼女は蒸発し、いなかったことになる。彼/彼女の痕跡はどこからも消える。どこからも。彼/彼女は最初から、存在しなかった。そう存在しなかった。


スターリン政権下だった1941年ソ連、作家ダニイル・ハルムスの部屋にアパートの管理人がやって来てちょっと下まで来てくれと言った。彼はそのまま姿を消したそうである。
これは作り話ではない。

公式が病気

主人公は思考犯罪者。あろうことか2+2はいついかなる時も4だと考える党の裏切り者。党が2+2が5だといえば5なのだ。えらきゃ黒でも白になるべんべん
ヒロインはセックス大好きのビッチ。党は生殖以外の意味を認めない。過去改変には何の興味もない。
熱烈な党員の男は、率先して党のイベントに参加しまとめ役を引き受けひとびとを鼓舞した。我が息子と娘を手塩に掛けて党員に育てあげた。息子と娘はスパイ団に入団し模範的な党員となった。男はその7歳の娘に密告されて連行された。きっと彼女は党の敵を見つけ出した功績を表彰されるだろう。
どいつもこいつもじつにけしからん

この小説は傑作である。。。おや誰か来たようだ

1984年。1984年。1984年。
それは過ぎ去った。それはかつてあった。それは未来にはない。
それは未来に。それは今も。
忠誠を支払え。0対7。
未来世紀ブラジルが。冷戦が。スターリンが。ハリウッド・テン。自由をもっと自由を!
俺を見るな。干渉するな。禁止するな。その蛇をどけろ。
俺は象を撃たない。象を撃たない。いやきっと撃つ。
神は俺が決める。信仰は俺が決める。
大きな栗の木の下で仲良くうらぎった。
その方法はわかる。その理由がわからない。
ビッグ・ブラザーをやっつけろビッグ・ブラザーをやっつけろビッグ・ブラザーをやっつけろ
言いたいことも言えないこんな世の中で俺は言いたいことが言えるじゃないか
しっかりしろよ主人公。はい。
1984年。1948年。おいら町人でげす。
俺に信念はない。覚悟はない。反射だ。嫌悪だ。
助けてくれという叫びだ。何が悪い?何が悪い?
皆神を選べ。選択肢を吟味せよ。知れ多くの信仰を。教えよ方法を。登れ火の山。下れ氷地獄。
指輪。首輪。子供に芸を仕込むな。幸せを願うな。子供は歩く。踵鳴る。

そんなことよりおうどん食べたい