映画「涼宮ハルヒの消失」感想:ふざけたエナジー取り戻すわよ!

原作:谷川流
キャラクター原案:いとうのいぢ
総監督:石原立也


キョン杉田智和
涼宮ハルヒ平野綾
長門有希茅原実里

あらすじ。ハルヒが消えキョンは奔走する


感想。「面白かったんだろう?」「当たり前だろうが」。
眠るハルヒの前髪に指をやり唇のうえを押しまなじりを親指でなぞる
そうだ少年よ、好きな人の寝顔にはそうするものなのだ

映画としての完成度

まずなによりこれを言っておかなかければならない。
作画よし、シナリオよし、展開よし、演技よし
映像、音楽、演出、アクション、背景、キャラクター、すべて文句なし。
手抜きのない、鑑賞に耐えるプロフェッショナルの仕事
気合いと情熱があり作品への愛情がある。確かなアニメーションの技術がある。
破綻もなく制御された、総じて高レベルの映像作品である。
内容への言及や作品世界への批評以前に、劇場で1800円を払って観る価値がある邦画であること。
当たり前だと思ってはいけない。評価に値する仕事は評価されねばならない。
それを肝に銘じて、この作品は何を描いたか?

京アニの詩情

21世紀にだってゆとり世代にだって詩はある。もちろん。
そこは”攻めて来ない場所”だ。大人が、現実が、ガミラスが、ジオンが、夢邪鬼が、使徒が。
そっとしておいてくれる場所、好きなだけ放って置いてくれる場所。
涼宮ハルヒシリーズは最初から、丁寧に周到にかつ徹底的に大人を排除した物語だ。
学校があり授業が行われ部屋と食事が与えられ街が稼働していても、
先生が両親が”社会”が意図的に外され隠され焦点をずらされた世界。
自足した子供の世界。健やかに育まれる世界。
自分で踏ん切りをつけ自分でそれを選び選択し、”出ていく”ことを可能にする場所。

わたしの 場所がある


大切なものは失われて初めて気付く*1
これが世代のやさしさです

*1:劇中唯一の大人は「いつかあなたも、この高校生活を懐かしく思う日が来ます」という