映画「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」感想:「ファンの望みは日常を忘れる事だ」

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感想。絶句。


あらすじ。昨年亡くなったマイケル・ジャクソンの、ついに実行されなかった公演リハーサルを編集したドキュメント映画。

動き

踊りと言うにははばかられる、これは身体操作。
俺の知る限り、一番近いのは拳法の套路や演舞の動き、あるいは能・狂言の型か。
塩田先生や甲野先生の動きに似てる気がする。
予備のモーションがない。いちいちすべての振りが正しい*1。なにこれ?
50男のダンスがどうして腕白盛りのバックダンサーよりキレがあるのか。
おそらく一流どころのダンサーたちが集合したのだと思うが、なんというか、まいこーに比べると、動きがものすごく「雑」に見える。
筋肉を使って動いてないような。いつまでも動いて息切れひとつ起こしてない。
腕の振り腰の動き足の運び指先の差し示し、自然と目が吸い寄せられてしまう。

歌・演出・メッセージ

マイケル・ジャクソンはダンサーではありません。歌手です。
ですので、踊りながら歌を歌います。これがまたとんでもない。
どっから出してるかわからない高音・シャウト、リズムにメリハリ
つやのある歌声で易々と難曲を歌いこなす。
独創的かつ大胆で大時代でワイルドで馬鹿馬鹿しくもはらはらする異様な世界観
結局背骨はマイケルである。彼がやっているから成り立ってしまう。
メッセージに関しては英語なので分からないが、劇中の発言から

ファンの望みは日常を忘れる事だ
未知の領域に連れて行こう

まいった。エンターテイナーとして完成されている。


これは怪物だ。台風か何かだ。天気予報図を眺めているようなもので、もう冗談としか思えない。
エーテルで動いてる魔法生物だよ彼は。
故に中心は空洞である。

*1:いわゆる決まってる、格好いいということ