きっともう会えない

近所の料理屋が廃業したことを知る
しばらく前に一度短期間休業、最近再開した矢先だった。
張り紙に「三十年のご愛顧」とあった。俺がここに住む遥か昔から営んでいたことになる。
決断である。
親父さん達は今頃どうしているだろう。
彼は料理人ではなくなり俺は客ではない。
狭い市内で見かけたとしてもその関係は永久に戻らない
であるなら
もう二度と会うことは無いと言えるだろう


たくさんの店舗の閉店を見てきたし
よく通った店主の死を知らされたことさえある


俺はまだ若造で 別れに慣れていない
俺はまだ若造で 別れの悲しみを闇雲に気力と体力で抑え込んでしまう
喉に鉛を飲んだような重さがあっても 涙を堪えられる
とにかく反射的にそうしてしまう


イベントもフラグも無い
「あれが最後だったのかよ」という脱力感
こんな思いを繰り返していくのか
うんざりだ