ミツバチのささやき感想:ミツバチのまなざし

監督:ビクトル・エリセ


アナ:アナ・トレント
イサベル:イサベル・テリェリア
父フェルナンド:フェルナンド・フェルナン・ゴメス
テレサテレサ・ジンペラ

感想。おいおい何てものを見せてくれちゃってんの?(褒め言葉)


あーえらいもん観た。
はっきり宣言するが俺はこの映画がよくわからん。
昔の言葉を繰り返そう。
凄い、とは断言できるが面白い、とは俺は、口が裂けても言えない。あれを面白いといえる人間に憧れるしなりたいけれども、嘘はつきたくない。
すくなくともおしゃれさん皆殺しの映画だと思う
「いい映画だよね〜」とかへらへらしてるやつらには近寄りたくない。

  • アナ、アナ、アナ
  • あの娘の神々しさは一体何事か
  • 目!
  • そしてドン・ホセの目!
  • イサベル姉貴は死ぬ。そして蘇る
  • さらに殺そうとし、くちびるに己の血でもって紅を引く
  • 他の娘達と一緒に「炎を飛び越える」
  • 妹は死してなお夜精霊に呼びかける。FIN


スペインの風景がいい
母ちゃんの語られないドラマ
炎とは過去を焼き尽くすものである
父ちゃんの毒キノコ踏み潰し
善悪を決定し迷わない魂
フランケンシュタインの怪物
無知は罪なり*1


アナは問いかける目である
問い続け決定しない強い眼である
蜂の巣模様の窓の屋敷

房室を出れば休息はない
幼虫を待つのは労働のみ


轟音と蒸気をあげやってくる抗うこと不能ざる力
ふたりの姉妹はその到来を知り
姉は素早く身を翻し
妹はいつまでもそこから離れない
そうもちろん彼女だってそれに飲み込まれ引き裂かれるつもりはない
しかし
ぎりぎりまで
時間の限り
そこに留まり
目を凝らし続けるのだ


はっとする様なアングルがあるわけではない
ぞっとする演出も多くはない
煙に巻くようなメッセージもない
でも映像から目が放せない


痛いほどの沈黙が
語られないすきまが
反転するように
「なにか」を描き出す


無垢な魂よ
あなたはちいさなままではいられないのだ。
それでも。
……。

*1:シェリーの原作では彼は知恵をつけ殺されることなく北の氷原に消える