川上未映子:そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります読了
二週間。
- 作者: 川上未映子
- 出版社/メーカー: ヒヨコ舎
- 発売日: 2006/11/01
- メディア: 単行本
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将軍のような禅マスターは、気合の入ったひととは何ですかと問うものあればつかみ掛かり「言え言え」と迫ったそうな*1。
世のなかには、誰に言われたわけでもないのに赤裸々なこころを言い尽くし書きつくそうとするにんげんがいる。難儀なものである。
さてその迸ることばは短文をベースにした俺の流儀から大幅に外れており唖然とする。読点でつなげ続ける長い長いセンテンス。こういった垂れ流し系の文章は大体べたべたして駄目になるものだが、恐れ入ったことに制御された文章として在る。足腰を鍛えていないとこうはならない。随分沢山の文章をしかも読まれる前提で独りよがりと紙一重の危うさで書き続けた賜物。懸命に愚直に表現することを続けたものの拳。
ことばが他人に届かない絶望と、何故か届きうるという信仰。
諦めきったことばが届いた、心底の歓喜を知るひとにだけ宿る自信。
奇跡が信仰を支えるのだ。
天才は退屈なんてしないからな
もみくちゃになって足掻いて足掻いて登り潜り攫われ放り出され。
感情と直感の衝動に突き動かされながら訳も分からず天国⇔地獄を疾駆する。業。
文章の傍に立つ理解できぬ怪力乱神に対して俺は深々と礼をする。
ナイス、ナイス、ヴェリ・ナイス。
……神様みたいないい子でした
*1:まごまごもたつくとぶん殴られる