俺と悪魔のブルーズ:デトロイトブルースシティ

俺と悪魔のブルーズ(3) (アフタヌーンKC)

俺と悪魔のブルーズ(3) (アフタヌーンKC)

面白いとか面白くないとかから遥か離れた稀有な漫画。わけも分からず読み進めてしまう。
さて3巻はページ数の割にはあまり進展が無い。2巻あたりからのねっとりした描写がさらに精度を上げ宛ら黒魔術の如し。
RJの右手指の数問題から保安官代理の裏切り、クライドはマクドナルド邸を探索して老人の謎に接近する。RJ逮捕の真相も見え始める。リンチ目前のRJにアイクが登場し、問答と忠告の後去っていく。マクドナルド老人がクライドを怪しみ始め、クライドはRJ救出等のため留置所に殴り込みをかける。
おお、なんという画力。真っ黒に歪んだパース。異常な緊迫感。特にこれまでちらりとしか出てこなかった正体不明のアイクが不気味でしょうがない。悪魔的に超常な存在のようであり、同時に俗人の気配もある。
おとなしくリンチで死ね、という「忠告」。もし生き残ってしまえば後悔するぞ、と。
恐怖。背筋も凍る。理不尽に対して怒りリンチを恐れるRJの必死な姿をこれでもかと見せ付けられ、いわゆる死んだほうがマシなんて事態は想像もつかない。
しかしそれはあるんだろうと言う予感、アイクは嘘をついていない確信。
ありふれた表現だが、目が離せない。読みたくないと理性が悲鳴をあげている。
こういう漫画はなかなか無い。