のび太が恐竜

以下前提

  • 漫画版を読んでいる、もっている
  • 旧映画版を観ていない。すくなくとも覚えが無い。
  • 旧声優陣は苦も無く思い出せる
  • 新声優陣の作品視聴は多分はじめて

感想。
映像。動きすぎ。
声優。案外芸達者。そのまま精進。
感動。くどい。
総評。スタッフロール内の漫画版のたった4コマの方が全編よりインパクト大。おそるべし、F。




動きすぎ、について。
想像だがどうやらアニメーション技術において、細かでリアルな描写の積み重ねがそのまま作品の厚みになる(=善である)、という信仰がありそうだ。なぜだろう。今でも多くのアニメがそうであるように、低予算・短期間に起因する「したくても出来なかった」ことへの反発の現われか。宮崎アニメの職人的微細描写への盲目的追従か。
アニメの映像技術に対して論ずる時、「動いている」ことが評価基準になることがある。動いてない作品を紙芝居と揶揄し、「よく動いている」と高評価する。
勘違いしてはいけないのは動くとは動いているように見える・感じられることであり、決して、行動を実写的にアニメーションで再現しろといっているわけではないということ。低予算・短期間ゆえの生まれた手法、映像使いまわしや誇張、間の演出を駆使した「生き生きした感じ」の生み出し方は、なるほど職人的で体得するしかないものかもしれない。
細かでリアルな描写の積み重ねは手間隙は掛かるだろうが、要するに、手っ取り早いのだろう、高評価を得るのに。
であるならば、じつに宜しくない。
不要な詳細描写は観ていて気持ち悪いものだ。
とりあえず深夜アニメ観て研究なさい。深夜アニメ出身なら予算に惑わされずに大胆になりなさい。
宮崎駿は詳細描写に妥協がないそうだが、同時に宮崎走りや宮崎食いといったデフォルメの天才でもあるのです。


声優について。
いやたいしたものだ。素直に感心。現時点では究極には程遠いが、充分。励んでください。
ひとつおもったことは、ドラえもんの声。高い声は意表を突かれた。わるくない。ただ、あの声と演技ではドラえもんは妖精だ。ネコ型ロボットではない。
もっとも、それは誉め言葉か貶し言葉か、自分でも判断できないのです。
ps.三石琴乃高山みなみに脱帽。あと噂には聞いていたが木村昴が素晴らしい。特に後半になるとたてかべ和也御大(でまんねん)と並ぶ勢い。今日現在で15歳とはあまりにも末恐ろしい。


感動について。
強調と押し付けはさすがにもう受け付けない年齢になったのかもしれない。味の濃いジャンクフードは舌がいかれる。
丁寧にここが泣く所ですよと指示されてもしらけてしまうのです。
ところで全く想像できないのは、子供たちの反応だ。記憶に残るアニメであったろうか。こころに響いたろうか。十年後二十年後思い出し語り合うに足るアニメであったろうか。正直くそみたいな印象批評どもよりも監督のキャリアよりも興行成績よりも断然そちらのほうがはるかに大事なのだ。
感動演出比較のために旧作を見てみたいと思いました。



総評。一般1800円は高いな。大長編ドラえもん漫画版が四冊買えるぜ?

4091406025大長編ドラえもん (Vol.1)
藤子・F・不二雄
小学館 1983-06

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