怪人山田正紀

以下普通にネタバレ要素あり注意。
他の人がこの小説を読んでどう思うか俺はわからない。
面白い小説が読みたいなというひとに薦められるかと言えば、君が読んで面白いかどうかはわからないと答えるほか無い。
俺はこの小説で扱われている小道具が大好きだ。阿部定が遠藤平吉が芥川が。江戸川乱歩が。条件反射的でどうしようもない俺の好みがちりばめられている以上、もう赤の他人に対して感想はつむげない。
帯を見よう。
「検閲図書館VS怪人二十面相
俺は快楽する。ぞくぞくする。まったく反射的だ。
ラストの!国会議事堂の!場面の!かっこいいこと!
あとがきに書かれているようにこの作品は先達へのオマージュの性格がある。一行目からまるわかりでした。しかも先達に及ばない(人喰いの時代のほうが成功しています)。それがどうした?俺は山田正紀を愛す。
あらすじ。2・26事件数日前、N坂の殺人事件があったことを知らされる特高刑事。彼に人探しを依頼する検閲図書館。大阪出身の怪人物遠藤平吉。死大佐。三日月目に三日月口の青銅仮面。検閲図書館の魔法妨害。秋子。アドバルーン
ついに、幻想は破れ、現実を覆い隠す「かもしれない」の衣を脱ぎ捨て、幻想は幻想であることを「しょせん」幻想「に過ぎない」ことを止め、荒々しくまた平然と現実として現象し読者を許さない。
夢物語でよいのだ。
いや、リヤルだ。





小説一作読むのに二週間掛かる。俺は能力が低い。
三部作最後は「ファイナル・オペラ(仮)」だそうな。俺は興奮している。
次に読み始めているのは「愛をめぐる奇妙な告白のためのフーガ」。
ところで検閲図書館は博徒香具師を操った。この国に置いてその役割は…まあいい。この点は次回に説明されるのだろうか。期待しています。