天地人

4063720608魔障ヶ岳ー妖怪ハンター
諸星大二郎
講談社 2005-11-04

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そろそろ感想でも。
あらすじ。山伏も避けて通る「魔障ヶ岳」で稗田先生は数人の男女と合流し、得体の知れないモノと出会う。
後日稗田先生はその時のひとびとを巡り顛末を見届ける。
ラスト、再び魔障ヶ岳でモノと対峙するが若者の集団の登場で大変なことに。



作品の全体的な出来はまあまあですが、稗田先生は相変わらずで嬉しい。
初期作品収録した「地の巻」時には先生には介入の意思が伺えたが、それ以降から本作品まで一貫して傍観者に徹しています。その傍観ぷりは物凄く、どんな事態に陥っても常識をわきまえ一線で踏みとどまる意志力が発揮されます。完璧かつ華麗なスルーは、正直悟りを開いているのではないかと疑うほど。生半な坊主よりも徳が高いと見た。
さて超常なモノに対するにんげんの態度は時代が変わっても普遍かもしれない。

恐ろしく思いつつ利益を望み。
制御できると信じて利益を望み。
正体に目をつむって願いをかなえ。
無知と不敬と恐れ知ずが無益を生む。
恐れを知る智者は決してそれに近づかない。
いやよく出来ている。
ままならねぇなあ。